スリザリン差別

ヴォルディモート台頭の背景にスリザリン差別があったと思われる。物語ではグリフィンドールが優遇され、スリザリンがひどい目にあっている場面がたくさんある。スリザリンの文化が家柄重視、純血主義なのは差別に対する反発とも考えられる。

日本では翻訳の問題もある。スリザリンは cunning な人間が選ばれるのであるが日本語版では cunning を「狡猾」と訳している。「狡猾」は悪い意味で使われる言葉だが英語の cunning は単に「知能が高い」という意味でも使われる言葉である。

1〜3巻までノリならスリザリンは単なるお約束のやられキャラとして納得もできるのだが魔法戦争の中でもスリザリンは悪役・敵役として描かれている。一方でレイブンクロー、ハッフルパフは中立というよりは単に無視されている。勇気、真実、機知、知能という4つの美徳を持った者達が力を合わせて悪を倒すというストーリーにした方が、ベタかもしれないが、良かったように思う。魔法戦争は善と悪の戦いというよりもグリフィンドールとスリザリンの勢力争いである。ヴォルディモートが気に入らない人物を殺したり、拷問にかけたりするのは悪であるけれども一方の側のグリフィンドールが善であるようには見えない。ジェームズやハリーの行動を見る限りグリフィンドールは勇気というよりも無謀である。スリザリンの純血主義にしても中世末期にマグルによって行われた魔女狩りに対する魔法界の防衛手段として正当化することもできた。 19年後の話を見てもスリザリン差別は依然として残っており第二、第三のヴォルディモートは出現するであろう。